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(続々々)先見的要請って?

 言い換えれば、そこには明らかに「先見的要請」が有ったと考えられます。彼らが他の人達と違っていたとするならば、それらの果実が丁度良い収穫時期に有るという「先見的要請」を、誰よりも早く見抜く力があったということになるのではないでしょうか。

 更に言えば、人々の意識下にある「潜在的な欲求」をも「先見的要請」と言えなくは無いでしょう。必要は発明の母と言われる如く、人々の意識下にある「必要」を的確に捉え、それを具現化したものが大発明という訳ですが、ここで言う「必要」こそまさしく「先見的要請」そのものと言っても良いのでしょう。卑近な例では、商業上のヒット商品、或いは、およそ「商業的にクリエイティブと呼ばれる活動」のすべても、見方によっては「潜在的な」消費者ニーズを「顕在化」させる行為ですから、広い意味で発明と言えます。ですから、これらの活動すらも「先見的要請」を捉える活動と言えるのではないでしょうか。

 こう考えて見ますと、学究・研究行為、計画的行動、危機管理、創造的活動といった人間の論理的活動の主要なものの大半が、この「先見的要請」を捉える行為と言っても過言では有りません。言い換えれば、物事の「先見的要請を如何に的確に捉えるか」こそが「考えること」の非常に重要な主題と言えると思います。

 このテーマについてはまた何時か別の角度から論じてみたいと思いますが、最後に一言付け加えるとするなら、読んで字の如く、「先見的要請」はインスピレーション(天の啓示)のように何処からか自然に沸いて来る物ではなく、「何時もそこに在り、あたかもその事実の方から仮説の証明を要請している」ものであると言うことです。ですから自らへの反省の意味を込めて言わせてもらえば、先見的要請を捉えるためには、一にもニにも現状を正しく認識すること、既知の知見を正確に把握すること、それらを主観に囚われず客観的に分析することしかないと言うことでしょう。
by m_tanijyun | 2004-04-06 19:02
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