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(続)完成って何時なの?[3]

 しかしながら、その行為が仕事として社会的性格を持って行なわれる場合は趣が異なります。人は人を、その行動で評価していることも一方の現実なのです。仕事であれ趣味であれ、創作活動であれ家事労働であれ、人は様々な社会活動を仕事として行い、好むと好まざるに拘わらずその行為の成果を人に評価されることになります。このときに、今回のテーマである「完成って何時なの?」という事に関する考え方が問われることになるのです。

 勿論、物事は「拙速か完璧か?」という二者択一ではありませんし、社会的活動に於いては、その行為をなす人の考えよりも「社会からの要請」の方が重要な意味を持ってきます。ビジネスの社会ではこれらの関係が明確ですので、クライアント(顧客)の要請に基づき行なわれる仕事を例にとってお話しましょう。

 顧客が仕事を発注する以上は、その仕事の完成度(品質は勿論、納期やコストも総合的に評価されますが)には、予め一定の「期待値」が存在します。仕事を受注した人は、作業を終える時点(完成と見なす時点)で自身の満足度よりも、顧客のこうした「期待値」を満たすことを前提とせざるを得ないでしょう。この条件が満たされて初めてビジネスは成立します。そして顧客の満足度が信用となって次の仕事へと繋がって行きます。

 以上の関係は金銭の授受を伴うか否かに拘わらず、仕事と言われるものの全てに共通しています。結論的に言えば、仕事の完成度と納期(完成までの時間)が社会または顧客の「期待値」を満足させるものであること。これこそが仕事に於ける「作業を終える時期」であり「完成時」と言えるのではないでしょうか?

 仕事をした人の満足度が満たされ「完成」と見なした仕事が、そのまま顧客の「期待値」を裏切らないものであるとしたら、その仕事はプロの領域と言って良いでしょう。(とは言え、現実にはそれらが完全に一致することは永久に無いかも知れませんが・・・・)
 因みに言わせて頂きますと、ここで言う「期待値」は、この言葉自体、非常に曖昧な表現ですが、それで居てどういう訳か、不思議と普遍性を持った「評価」であることに驚かされるものです。ですから物事に対する社会の「期待値」を的確に捉えるならば、何処まで完成度を高めるべきか、何処で仕事に「見切り」を付け「完成」となすべきか、と言うことの一つの判断基準にはなるのではないかと思います。皆さんはどうお考えでしょう?
  
                                          By 純一郎
by m_tanijyun | 2004-04-20 12:12
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