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(続)物事の狭間[2]

 「ウィルス」は、ご承知のとおり「ビールス」とも呼ばれ、インフルエンザやエイズ、小児麻痺などを惹き起こす病原体とされていますが、これはいわゆる「病原菌と呼ばれる微生物」や、「細菌」のような「生き物」とは明らかに異なります。 ・・・と言いますか、正確には生物の定義からは外れる「物質」の一種と言った方が正しいのかも知れません。いえいえ、「不完全生物」と言うべきかもしれません。うんうん、だから中間的なものと言うべきなのでしょうね。

 なぜなら、ウィルスは生物の細胞中にあるRNAとかDNAといった「遺伝子情報を持った物質=核酸」と、「タンパク質」などから出来たものですから、いわゆるタンパク質の粉末などのように、適当な条件で抽出すれば結晶化させることも出来る、ただの「有機物=物質」と考えることが出来るのです。

 しかしながら、このウィルスと言う「物質」は、一度生物の細胞内に取り込まれる(これを感染と言えば良いのでしょうか?)と、まるで生きた細菌のように自己複製を繰り返し増殖したり、病原物質や毒素となるようなタンパク質を作り出したり、或いは正常細胞を癌化させる引き金となったりします。こうなると確かにこれは「病原菌=生物」と区別がつかないと言う感じがします。まあ、生物の「設計図面(RNAやDNA)」を持った物質なので、生物の細胞内では生物のように振舞えても当然でしょう。)

 次に光ですが、皆さんも光が「粒子」と「波」の二重性を持つことについては、お聞きになったことがあるでしょう。 光は古典物理学で知られる性格から「波」として捉えられてきました。しかし現代では、光も「光子」という「素粒子」の一員と考えられています。これを提唱したのもアインシュタインです。

 古来から、物の根源的構成要素については、常に人間の興味の対象であり、「粒子」と「波」の存在は知られていました。ただしそれは、その性質から全く相反するものと考えられ、全く別々に取り扱われてきました。

 それはそうでしょう。「粒子」は位置も大きさも重さも特定できる文字通りの「粒」ですから、「物質」そのものです。これに対し、「波」は空間に三次元的に広がり、「大きさも重さも特定出来ない姿無き存在」ですから、この両者は、その特徴の全てが「似ても似つかない性質のもの」と言っても良いでしょう。

 それにも拘らず、現実に「光」は、ある時は「粒子」として振る舞い「光電効果」を起こしたり、ある時は「波」として振舞い、スクリーンに映像を投影したりして、物事の根本に係わる「大矛盾」を、全く疑問の余地無く共有して見せてくれるのです。光りの二重性の発見以来、多くの素粒子がこの性質を持つことが証明され、知られています。

 どうです?物質の根源にまで遡り、その本質的構成要素である「粒子」や、「波」という次元に至っても、その両者の特徴を兼ね備え、どちらとも分類し難い中間的なものが存在すると言う事実には驚かされませんか?えっ?別に驚かない?あははは。そうかなぁ~

・・・ということで、この続きはまた・・・

                                           By 純一郎
by m_tanijyun | 2004-09-25 19:01
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